別れたときの
脳と体は異常事態

 フレーミングを転換する前に、別れたときの脳と体の状態についてお話しします。人間関係学者のクローディア・ブランバーとR・クリス・フレイリーは、別れ(かれらは「関係性の解消」と呼ぶ)を「個人が人生で経験する、もっとも苦痛な出来事の一つ」であると指摘しています。

 生物人類学者のヘレン・フィッシャーは、恋をしているときの脳を研究しました。彼女のお気に入りの研究手法は、fMRI(機能的磁気共鳴画像法)を用いて脳をスキャンし、頭のなかをのぞき見る方法です。フィッシャーは、付き合いはじめのカップルや、何十年たっても深く愛し合っているという人、別れようとしている人など、恋愛のさまざまな段階の人々の脳をスキャンしました。

 フィッシャーのチームが発見したのは、人は好きな人の写真を見ると、脳の側坐核と呼ばれる部位が反応することでした。その部位は、薬物依存症者が薬物摂取のことを考えると活性化するところです。また、別れるときに影響を受ける部位でもあります。つまり、恋人と破局したときと薬物の禁断症状が出るときでは、脳が同じ体験をするのです。元恋人に会ってハイになりたいと思うのも無理ありません。現実に向き合いましょう。あなたは恋愛に依存しているのです。