オジャーズは、周囲にお金持ちばかりが住むようなエリアで育った子ども(住んでいるエリアに、貧しい世帯が25%以下)と、貧しい家が多いエリアで育った子ども(住んでいるエリアに、貧しい世帯が75%以上)の成長を調べると、前者のほうが、はるかに非行に走る確率が高いことを突き止めました。ただし、この傾向は、男の子にはよく当てはまるのですが、女の子には当てはまりませんでした。
たとえ自分が貧しい家の子どもでも、近所の子どもも同じように貧しければ、男の子はそんなに気にしません。ところが、近所に住んでいる子どもがお金持ちだったりすると、男の子は、とても大きなストレスを感じます。自分がみじめな存在だと感じたり、自信を失ったりするのです。こうしてどんどん性格も荒れてきて、非行に走ってしまうのでしょう。
男の子というものは、女の子に比べて、競争するのが大好きなのです。
内藤誼人 著
当然、近くに住んでいる子どもとは、しょっちゅう競争しようとするものですが、親がお金持ちかどうかという話になると、子どもにはどうすることもできません。ただストレスを感じるだけです。勉強やスポーツなら、まだ本人の努力でどうにかできそうですが、親の資産については、お手上げです。
近所にお金持ちばかりが住んでいるということは、環境がよさそうに思えますが、男の子にとっては、そういう環境はあまり好ましくないといえます。もちろん、自分の親が近所の人たちと同程度のお金持ちならば問題はないのですが。
家庭を持ち、子どもを持つようになると、親としてはどこに住居を構えるのかも大きな問題になります。できるだけ子どもにとって負担の少ないところに住むのがよいでしょう。
自分に相当の稼ぎがあるのならまだしも、見栄を張って高級住宅街などに住もうとすると、不要なストレスを子どもに与えてしまうかもしれません。