「残念な資料」は
どこがどう悪いのか

 さて、あなたはこの資料を見てどう思うであろうか。提携候補を1社に絞ることができそうだろうか。この資料を診断してみよう。

診断項目(1)目的が定められているか?:NO

 まず資料の上部には、「提携候補先のまとめ」とだけ書いてあり、1社に絞るという目的を部下が理解しているかが分からない。

 そもそも指示が「まとめてほしい」という曖昧なものだったことも原因にあるであろう。まとめた結果、何を判断したいのか、この資料の目的は曖昧だ。

診断項目(2)結論が書かれているか?:NO

 さらに残念ながらこの資料には結論が書いていないので、提携候補となる1社がどれかは分からない。

 よく見ると、資料の表の右から2列目にある「自社との相性」という欄に○がついており、「C社とD社の両社との提携がおすすめ」と言いたいようにも見えるが、確証はない。

診断項目(3)根拠が書かれているか?:NO

 仮に「C社とD社の2社が候補」という結論だとしても、その根拠がよく分からない。自社との相性に○がついている理由はおそらく、提携先のターゲット顧客が自社と同じであることだが、確証はない。

 確証が得られない大きな理由は△の存在だ。「自社とは関係がない?」という記載は、何についての関係を指しているのかが分からない。ターゲット顧客が被っていないという意味なのか、それとも例えば過去に取引をしたことがないという意味なのだろうか、よく分からない。

「その他・最近の取り組み」の欄に書かれていることも各社バラバラで、各社を比較する論点が定まっていない。さらに、無目的に並んでいる「売上規模」が提携の判断にどう加味されているのかも不明だ。

図表0-2同書より転載 拡大画像表示