「残念な資料」を
いい資料に書き換えるワザ

 筆者であれば、A社・B社のターゲット顧客の情報を新たに加えて、図表0-3のように資料を書き換える。改善例は、ダメな例と比較して何が具体的に違うのであろうか?診断してみよう。

図表0-3同書より転載 拡大画像表示

診断項目(1)目的が書かれているか?:YES

 残念な資料は、目的の部分に一応「提携候補先のまとめ」と書いてあるが、まとめた結果、何を判断したいのかが分からなかった。

 一方で改善案は、資料の目的が最上部に示されており、提携候補先を「1社に絞り込む」ことが今回の目的であることが分かる。

診断項目(2)結論が書かれているか?:YES

 繰り返しだが、残念な資料は結論も明示されていない。一方で改善例は、提携先を1社選ぶという目的に対して、「D社を提携先に選ぶべき」という結論を明確に示している。そのため、この資料を書いた人間が何を伝えたいかが明確である。

診断項目(3)根拠が書かれているか?:YES

 残念な資料は、売上規模やその他に書いてある情報が、企業の選定にどう結びついているかが分からない。

 一方で改善案は、企業選定にあたり、事業規模の大きさ、ターゲットの重なり、自社が相手のニーズを満たせるか?という3つの根拠で結論を導き出していることが分かる。企業の羅列も、無目的なABCD順ではなく、今回の目的に沿うように、提携可能性がある企業とそうでない企業に分類されている。

 このように構造的に情報を配置することで、読み手は、提携可能性の有無という論点(縦軸)に対して、何の根拠を持って結論に辿り着いたか(横軸)で確認することができる。

図表0-4同書より転載 拡大画像表示