大高さんの長女、12歳になる芽彩さんには障害がある。ひとりで歩くことは出来ない。食事を飲み込むことは出来るが、噛むのは難しい。だから細かく刻んだり、すり潰したりの手間が必要となる。

「小さい頃、母乳から離乳食に進むときはもーっと大変だったんです。何をどうしていいか分からない。どうしたらこの子が食べやすいのか、食べてくれるのか分からなくて、手探りで」

大高さんと長女の芽彩さん同書より転載

 大高さんはあっけらかんと言われて、笑った。彼女のセーターを芽彩さんが引っ張る。「あ、もっと食べるー、めいちゃん?」と声がけして、もうひとさじ。飲み込んでから芽彩さんは、にっこりと笑った。

 大高さんは1982年、岐阜県に生まれた。ご実家は洋食レストランを営まれている。ボリュームたっぷりのオムライスが名物だそう。

「『量で勝負!』って感じのお店で、ご家族で来る人や、学生さんが多いんです。私は作ることは好きじゃなかったけど、食べることは大好きな子どもで。食べたいものを言ったらすぐ出てくる、そんな環境でした」

嚥下障害のある患者の
食事のサポートにやりがい

 高校時代、「食に関すること」を仕事にしたいと思った。食を通じて人を笑顔に、健康に出来たらいいな、と。女子栄養大学を受験して合格、上京する。在学中は東京ディズニーランドでのアルバイトにも熱中した。