本選挙で与党対野党の
一騎打ちの構図に持ち込め
橋下 野党各党は、目の前に集まってくれる数千人の支持者を強く意識するのでしょうが、日本全体で見れば立憲民主も維新も積極的支持者はごくわずか。しつこいですが、世論調査の支持率は1けた台。
そんなものを取りにいくより、主要野党である維新や立憲は、6割以上にも上る、支持政党なしの無党派層を狙いにいくべきなんです。この層は、自民、維新、立憲民主にこだわりはありません。
本選挙で与党対野党の一騎打ちの構図に持ち込めば、無党派層はどっちがマシかで判断します。野党各党は自分たちの掲げる政策によって積極的な支持を得たいと思っているようですが、これまでの世論調査を見れば、野党の政策に大きな支持が集まっているわけではないことは明らか。
有権者は野党の口先だけアピールを信用していません。だからこそ、「自公よりもマシかどうか」で評価する無党派層の判断に賭けるべきなんです。
予備選で勝利した野党候補は、予備選で対決した野党候補の支持層が付いてきてくれないことを嘆くのではなく、自党の支持層と無党派層、さらには自民党にお灸を据えたい自民支持層をしっかりとつかむことに集中すればいいのです。
――最悪、「自民のほうがマシ！」なら、本選挙で自民に票を入れてもいい、という発想は画期的ですね。
橋下 野党各党は55年体制の思考に縛られて、野党は野党支持層を広くつかまえるべきと思い込んでいます。それは野党が大同団結して連立政権をつくることをお題目とする55年体制が大前提となっている。
だから予備選挙をやって野党の候補者を1人にしたところで、予備選で対立した野党支持層が付いてきてくれないのであれば本選挙で与党には勝てないと信じ込んでしまっているのでしょう。
これは完全に間違っています。
『政権変容論』（橋下 徹、講談社）
野党が狙うべきは、6割以上を占める支持政党なしの無党派層なのです。彼ら彼女らが積極的に支持してくれることを狙うのではなく、自公よりもマシだよね、という「消極的支持」で十分なのです。
野党間予備選挙とはつまるところ、日本の政党、政治家に何の期待も持たず、今さら政権交代など起こるはずもないと端から諦め、投票所に足を運ぶことすら諦めてしまっている人たちに、本選挙での「与党」対「野党」の一騎打ちという、極めてシンプルな戦いを見せ、どちらがマシかを判断してもらうのが目的です。
常に反自民の票を取りに行くことを考えるのではなく、場合によっては自民に票が行くこともあり得る無党派層をどう取り込むかを、戦略の柱に置くべきなのです。
