まとまらなくていいから
自公を過半数割れに追い込め

橋下 むしろ維新と立憲はとことん争って潰し合ったらいいんです。ただし、あくまでも本選挙の「前に」ね。

 そして、この野党間予備選挙で負けた候補者は、本選挙では立候補しないという政治的約束を必ず守ることが、絶対条件です。

 ここが予備選挙の一番の肝であり、一番の政治です。

 予備選挙で負けた候補者が本選挙にシレッと立候補したら、予備選挙の意味が瓦解する。本選挙に立候補する法的権利があるにもかかわらず、予備選挙での敗北の結果を受けて、本選挙に立候補する法的権利を放棄することができるか。

 これは候補者個人に委ねるだけでなく、まさに野党の党組織の威信にかけて、予備選挙に敗北した自らのメンバーに対して、立候補を断念させなければならない。

 野党としては、比例代表で票を多く集めるために、小選挙区でできる限り候補者を立てて党の名前を浸透させるほうがいい。だから今の野党は、与党に勝利する可能性が低くても、とりあえず小選挙区に候補者を擁立する。このことが本選挙における野党の潰し合いを生み出す原因であり、与党を利することにつながっている。

 自党の比例票が減るリスク、比例代表の議席減になるリスクを覚悟で、予備選敗北者を立候補させない政治ができるか。また候補者も、とにもかくにも議員バッジを付けたい者は、予備選挙に負けても本選挙で逆転を狙いたいと思うでしょう。そのような予備選敗北者に対して、本選挙での立候補を諦めさせることができるか。

 各野党が議席を減らすリスクよりも、自公を過半数割れに追い込む目標を重視する。すなわち野党第一党という目標よりも、是が非でも自公を過半数割れに追い込むという目標に熱を持つことができるかが、予備選挙の成否を決めるのです。

 この点、当初野党第一党を目指していた維新は、与党への逆風を目の前にして、自公過半数割れも目標に追加しましたが、この両目標は究極的には相反し、どちらかを選択しなければならなくなることを認識しているのかな。

――選挙前も選挙後も、各野党は手を組む必要はない、というところが斬新です。べつに1つにまとまらなくていい、と。

橋下 みんな「55年体制」が脳裏にしみつき過ぎて、「野党候補者の一本化=野党が1つにまとまるためのもの」だと思っている。

 全然違うんですよ。まとまらなくていいんです。

 本選挙の際に、野党の候補者を1人にして、与野党候補者一騎打ちの構図に持ち込むことだけを目標とするんです。