選挙で勝利した候補者が
「野党代表」ではない

――ただ、各野党の支持層からは、反対の声が出るのでは。たとえば、「立憲の政策に賛成だったのに、予備選挙で負けたからって、維新なんかに票は入れたくない!」とか。

橋下 いいんですよ、それで。

 仮に予備選挙で、維新候補者が勝ったとする。そこで本選挙の維新候補者に対して、熱烈な立憲支持者が「俺が蛇蝎のごとく嫌っている維新の候補者に投票することなんかできない!」と思う場合、べつに無理やり維新に投票しなくてもいいんです。

 棄権するか、それこそ「維新よりも自民党のほうがまだマシだ」と思うなら、自民党に投票したっていいんです。そこは有権者の判断です。

 この点も、野党間予備選を否定する人たちがよく言う、勘違いの批判です。

 野党間予備選で敗北した側は、本選挙においては、予備選に勝利した候補者を応援しないから意味がないという批判。

 このような意見の持ち主は、「55年体制」の思考から抜け出せていないと言わざるをえません。予備選挙で勝利した候補者が、「野党代表」になるわけではないのです。

 あくまでも「本選挙を与野党一騎打ちに持ち込む」ためだけの候補者一本化ですから、応援したくない候補者を応援する必要はない。

 それでも予備選を勝利した候補者にとっては、十分すぎるメリットがあります。それは、無党派層からの支持をバラバラにせず、自分に取り込める可能性が激増するメリットです。

 野党各党の支持率は1けた台。予備選挙に勝利した維新候補者は、本選挙で立憲支持者の票をあてにする必要はないし、予備選挙に勝利した立憲候補者も、本選挙で維新支持者の票をあてにする必要はない。

 お互いに相手側の支持率1けた台の票などあてにせず、「現在支持する政党はない」と言う無党派層の票をかき集めることに集中するんです。

 そのためには、本選挙で与野党一騎打ちの構図に持ち込んで、「与党と野党はどちらがマシですか?」と無党派層に問うのが一番効果的です。