ホリエモン案で「政権交代できる第三勢力が突然誕生!」に現実味がある理由Photo:Jun Sato/gettyimages

「政治資金パーティー」を巡る事件によって、自民党の信頼性が大きく低下している。野党にとっては政権交代を狙う好機だといえるが、各野党にも覇気がない。もはや野党は自民党の「対抗勢力」ではなく「補完勢力」に成り下がっている。その状況下で、自民党の対抗馬になり得る“第三勢力”が台頭の兆しを見せている。一体どのような集団なのか――。政治学者が独自の見立てを展開する。実業家・堀江貴文氏が昨年述べていた、政権交代についての興味深い「新説」も合わせて解説する。(立命館大学政策科学部教授 上久保誠人)

自民党への不信感が高まるも
野党への期待感は薄いまま

 自民党派閥の「政治資金パーティー」を巡る事件が意外な展開を迎えている。

 まず東京地検特捜部(以下、特捜)は1月7日、元文部科学副大臣の池田佳隆衆議院議員を政治資金規正法違反の疑いで逮捕した(自民党内では除名処分となった)。続いて、安倍派・二階派の会計責任者を在宅起訴する方向で検討中だと報じられた。

 だが「会計責任者との共謀」の立証が困難であるため、安倍派幹部議員の立件は断念される見込みだという(1月13日付、毎日新聞より)。「不正に手を染めた大物議員が一網打尽にされるのでは」と期待した国民がいたかもしれないが、そうならない可能性が高そうだ。

 もともと政治資金規正法は、悪質性の低い「形式犯」とされてきた。特捜が動いたにもかかわらず、今回も根本的な解決には至らないかもしれない――。その現実を、われわれは冷静に受け止める必要があるだろう。

 ただし、安倍派幹部議員が立件されなくても、政治家に対する国民の信頼が地に落ちたことは確かだ。岸田文雄首相は難局打開を狙い、自民党内に「政治刷新本部」を設置したが、国民からの不信感を払拭する効果は得られていない。

ホリエモン案で「政権交代できる第三勢力が突然誕生!」に現実味がある理由岸田文雄首相は自民党内に「政治刷新本部」を設置したが…   Pool/Gettyimages 

 というのも、同本部の初会合では「派閥解消」を巡る激しい党内対立があったという。この期に及んで「派閥」にこだわる自民党議員に対し、あきれている国民も少なからずいるはずだ。

 自民党批判が高まる潮流に乗り、岸田内閣を追い込む好機だと意気込んでいるのが野党だ。例えば泉健太・立憲民主党代表は年頭の記者会見で、「今こそ野党が立ち上がるべきだ」と熱弁。「政治改革」「教育無償化」などを掲げ、野党の力を結集して政権交代を目指すと語った。

 各党の議席数は少なくても、野党の「連立体制」を組むことで自民党を打倒しようというのだ。しかし、各野党の支持率は相変わらず伸びておらず、政権交代への期待感も高いとはいえない。それはなぜか。