「政権交代」を実現させるには「自公過半数割れ」を目指さなければならない。そのためには、野党は「潰し合い」にならぬよう、各小選挙区において本選挙の前に野党の候補者を一人にしておく必要がある、と橋下徹は提言する。与野党一騎打ちの構図に持ち込めば、十分に野党が勝利する可能性が見えてくる、と――。本稿は、橋下 徹『政権変容論』(講談社)の一部を抜粋・編集したものです。
本選挙の前にまずは
「潰し合い」を済ませるべき
――政権変容(編集部注/旧態依然とした政治を変えるためには政権を「交代」するよりも、自公政権が「変容」していくことが重要だと考える橋下氏による造語)を実現するためには、「自公過半数割れ」が必要不可欠。そのために「野党間予備選挙」が必要だというのが橋下さんの持論です。
橋下 これまでもいろんな場面で説明してきましたが、国民どころか、野党政治家にも僕の真意がいま一つ伝わっていない。やはり、一コメンテーターの発言では、熱量が足りないのかもしれない。決定版として、ここで熱く語ります。
1つの選挙区から1人しか当選しない小選挙区制で、自公過半数割れに持っていくためには、選挙において野党間で潰し合ってはいけないのは当たり前のことです。野党間で潰し合えば、選挙区で1人しか当選しないのだから、与党候補者が勝利することになる。
だから野党同士が小選挙区で争うのであれば、本選挙である総選挙の「前に」野党間で勝敗をつけておかなければならないんです。
野党の候補者が乱立する各小選挙区においては、本選挙の「前に」野党間で「潰し合い」を済ませておいて、野党の候補者を1人にしておく必要がある。その1人の野党候補者が、決勝に勝ち残った選手として本選挙で与党候補者との一騎打ちに挑む。
これが野党間予備選挙の意味するところです。
――これまでは本選挙で野党間が潰し合っていたのを、本選挙前に潰し合いを済ませておく、ということですね。
橋下 はい。本選挙では必ず与野党候補者の一騎打ち、二者択一の構図に持ち込む。
この作戦が有効なのは、今の有権者は「支持政党なし」が6割以上を占めるからです。与野党一騎打ちの構図に持ち込めば、十分に野党が勝利する可能性が見えてくるのです。
ここでよく勘違いされるのは、「野党間での予備選挙」を「野党同士が一致団結して手を組むため」のプロセスだと思われることです。
僕が「予備選挙」を呼びかけると、「政策が異なる政党なんかと手を組めるか!」「野党間で政策を一本化することは絶対にない!」という声が飛んでくる。
そうじゃないんですよ。むしろその逆。
今の野党間で「無理な政策の一本化」なんて必要ないし、「野党各党が手を組む」必要もない。特に維新と立憲民主党はお互い大嫌いなうえに根本的な考え方の違いがあるので、ここで無理やり手を組むことの弊害のほうが大きい。