単純に相手の名前を知りたいのなら、「名前を教えてほしい」「名前を聞いてもいいか」と尋ねるべきでしょう。いくらでもまともな表現があります。

「お名前をお教えください」
「お名前をお教え願えますか」
「お名前を教えていただいてもよろしいですか」
「お名前を伺えますか」
「お名前を伺ってもよろしいでしょうか」

 これなら、相手によほど後ろめたい事情がない限り、素直に教えてもらえるはず。

「いただく」「頂戴する」は、盛りすぎ言葉の代表格です。

「お名前様をいただけますか」とマニュアルで使うように定められているのかもしれませんが、そんなものを他人にあげたら、なりすましを許すことになってしまいます。

 ホテルの宿泊やスポーツクラブの会員登録で相手に名前を書いてほしい。そんなときは、記入先を指して、こう言えばよいでしょう。

「こちらにお名前とご住所・お電話番号をお書き願えますか」

「こちらにお名前と必要事項をご記入いただけますか」

 敬語の用法で混乱したり、疑問に感じたりしたら、今回のように敬語を省いた元の言い方に直してみること。迷路をぐんぐん進むより、最初に戻るのが近道です。

「頑張らせていただきます」――
「頑張る」と「させていただく」はなじまない

「ご希望に添えるよう頑張らせていただきます」

 発注先から「見積りの額、もうちょっとだけ何とかなりませんか」と頼まれて、こう答えたことはありませんか。