巷ではよく指摘される「言葉の乱れ」。しかし、それは本当に「間違った」日本語でしょうか?部下や後輩に指摘する前に、きちんとこの連載で確認しておきましょう!
「させていただく」禁止令!?
「~させていただきます」はおかしな敬語であるという意見があります。これが拡大解釈されていて、よいものも悪いと言われる傾向がありますが、文化庁の「敬語の指針」によれば、次のような場合には、適切とされています。
1. 相手側や第三者の許可を受けて行うようなこと
2. そのことで恩恵を自分が受けるという事実や気持ちのある場合
具体的には…
→これは、1. 2. を明らかに満たした普通の使い方。
× ご利用をお待ちさせていただきます。
△ 会議資料を送らせていただきます。
○ 会議資料をお送りいたします。
一番上は、文法的にまちがい。「お(ご)~させていただく」という敬語の用法はない。「お待ちしております」が正しい。二番目は文法的にはまちがいではありませんが、業務上、当然送るべきものを送る場合には、上の1. 2. にあたらないので「お送りいたします」でよいです。
○ 頒布会のご案内をお送りいたします。
相手が送ってほしいかどうかわかりませんが、こちらの都合で送る場合には、「お許しもないのに勝手に送って申し訳ない」という気持ちをこめて「送らせていただきます」とします。この場合も、遠慮する必要がなければ、「お送りいたします」でよいです。