書影『100兆円の不良債権をビジネスにした男』『100兆円の不良債権をビジネスにした男』(プレジデント社)
川島 敦 著

 マッセ案件はすでに我々の差配の下にあったので、旧所有者による売買妨害の恐れはない。2005年初頭には40棟近く売却完了していた。ローン期限の2005年10月までに残りが売れればゲームは無事終了する。

 一方、元オーナーが年末に刑期を終えて出所するという噂。理屈上は今さら妨害なんてあり得ないのだが、こっちはなんとなく不安。売却ピッチを少し上げて、遂に2005年9月に52棟目売却完了。ほっとした。

 買収金額が150億円、売却総額は230億円だったので、オリックスにはノンリコースローン90億円を無事に返済できたし、60億円拠出した投資家4社には140億円もの配当を達成できた。もちろんケネディクスは多大なインセンティブ報酬を受け取った。