「経営危機だ」と文春砲を被弾、株価8分の1に…不動産ファンド「ケネディクス」元社長がリーマンショックから立ち直れたワケ写真はイメージです Photo:PIXTA

2008年9月に発生したリーマン・ショックは世界経済に大きな影響を及ぼしたが、とりわけ金融や不動産業界へのそれは甚大だった。当時、不動産ファンド社長だった川島敦氏も窮地に立たされ、脇目も振らず資金繰りに奔走。折れてしまいそうな彼を支えた仲間からのメッセージとは――。※本稿は、川島敦『100兆円の不良債権をビジネスにした男』(プレジデント社)の一部を抜粋・編集したものです。

すべての投資案件は無期延期
違約金払って案件をキャンセル

 2008年9月、三井住友銀行から助け舟が出て、210億円のコミットメントライン(融資枠)を引くことができた。「ああ、これで何とかなる」と安堵したが、そのわずか1~2週間後に米証券大手リーマン・ブラザーズが約6130億ドル(約63兆8000億円)もの負債を抱え経営破綻したのだ。天地がひっくり返るほどの衝撃だった。

 その日は敬老の日で、夜は妻と碑文谷界隈に赴き、リンクマックスの小野良明夫妻、メリルリンチの宮川寿一氏、UBS証券の戸田淳夫妻らとモツ鍋を食べていた。そこで「これは相当まずいな」と話し合った。

 その翌日、三菱商事から連絡があり、すべての投資案件は無期延期(凍結)され、ケネディクスとの提携話も破談になったとのこと。目の前が真っ暗になった。

 米大手証券会社が破綻したということで、世界の金融界は大騒動になった。つい半年前の2008年3月に米国証券業界第5位のベアー・スターンズがJPモルガン・チェースに買収されたニュースにもびっくりしたが、まさか大手のリーマンが潰れるとは……。バンク・オブ・アメリカが救済するとの報道が流れていたが、同社は9月に入って突然、メリルリンチを買収することになった。