元総裁選スピーチライターが暴露
「自民党総裁選で勝つ人」の3条件
本日9月12日、自民党総裁戦が告示された。これから27日の開票日まで候補者たちの政策論争をじっくりとチェックして誰が次期首相に適任なのかを見定めてやるぞと意気込む人も多いだろう。
ただ、そのように政治への関心が高まっているムードに水を差すようで大変心苦しいのだが、「部外者」である我々がそのような努力をしてもほとんど意味がない。
過去の自民党総裁選候補者の広報戦略に関わった経験のある立場から言わせていただくと、この場で語られている「政策」というのは、あくまで議員や党員が「自民党の新しいトップとしてふさわしいか」をイメージするための材料に過ぎない。
なのでバカ正直に実行に移さなくてもいいし、極端な話、総裁選後に「そんなこと言ってましたっけ?」とすっとぼけても許される。
「日本の未来を決める自民党総裁選を侮辱するのか!」と怒りでどうにかなってしまう自民党支持者もいらっしゃるかもしれないが、このような“残念すぎる現実”は国民にとって周知の事実だ。
例えばちょうど今から3年前、自民党総裁選で岸田氏は「分配なくして成長なし」をスローガンに「新しい資本主義」「令和版所得倍増計画」という政策を訴えていた。首相就任以降、実質賃金26カ月マイナスという凄まじい記録を打ち立てた今となっては噴飯ものの政策ではあるのだが、中でも特に酷いのはその流れで打ち出していた「金融所得課税の見直し」だ。
岸田氏は格差是正のためとして、株式の売却益などに課税するなど、主に富裕層への増税につながるこの政策を「目玉」として打ち出していたのだ。
これは小泉政権以降から続く新自由主義的な政策とは明らかに異なる。「もしかしたら岸田さんはこれまでの自民党と違うことをやってくれるのではないか」という国民の期待が高まったのは言うまでもない。