新日本酒紀行「邑川」農家民泊三國屋の前で田邊裕彦さん Photo by Yohko Yamamoto

元公務員が故郷で醸す濁酒からの地域活性化

 島根県と広島県の県境の山奥にある美郷町で、2019年から濁酒(どぶろく)を醸造販売し、農家民泊も営む田邊裕彦さん。邑川(おおせん)プロモーション(濁酒蔵元邑川、農家民泊三國屋などを運営)の代表で、年間約300人の宿泊者を受け入れる。

 以前は公務員として島根県に勤務、農林畜産や地域活性化等の仕事に従事していたが、退職後に故郷の美郷町へ戻って「こここそ、地域活性化が必要だった」と痛感。町おこしと、退職後の夢だった酒造りを両立させるため、美郷町のどぶろく特区認定を利用し、濁酒民泊の開業を進めた。島根県産業技術センターで酒造りを学び、田んぼ付きの古民家を購入。地元の大工2人と田邊さんで民泊施設と濁酒醸造場に改装した。1反の田んぼで、きぬむすめと山田錦を栽培し、16頭のヤギを飼い、雑草を食べさせて周辺の農地も管理。「ヤギルンバです」と笑う。