新日本酒紀行「朔」藤本圭一朗さんの山田錦の圃場 Photo by Mitate

酒で旅するニッポンがテーマ!シングルオリジンの生酛純米大吟醸

「酒で旅するニッポン」をテーマに、日本酒を米作りから手掛けるブランド「朔」。2023年にフランスの日本酒コンクール、KuraMasterのクラシック酛部門でトップ賞を受賞し、注目を浴びた。企画販売するのは、インバウンド向けの旅行会社みたての庄司英生さんだ。徳島の藍染めや高松の盆栽を職人から学ぶ旅など、日本文化に触れられる独自の視点で設計した旅行商品で、インバウンドの人気を呼んだが、コロナ禍で需要が皆無に。新たな取り組みを模索する中で、出合ったのが日本酒だ。「各地域の多様な風土をひもとく日本酒は、食文化や気候、環境全てが凝縮する」と庄司さん。

 だが、一般的な日本酒は原料米の田んぼが特定できず、酒と地域は遠いと感じた。一つの田んぼで1人の農家が育てた1品種の米で醸せば、シングルオリジンが名乗れるとひらめき、兵庫県加西市の農家、藤本圭一朗さんが育てた山田錦の醸造を、同市内の富久錦に依頼。蔵元の稲岡敬之さんは「酒は土地の風土と人の思いが造る」が持論で、全製品を地産米純米酒に。