新日本酒紀行「とおの どぶろく」佐々木要太郎さん Photo by Yohko Yamamoto

健全な土壌から生まれる稲の生命力をダイナミックに醸す

 米を削って雑味をなくし、きれいな酒を造る……常識とされる今の日本酒造りを覆し、美しいどぶろくを造る佐々木要太郎さん。米農家で杜氏、「とおの屋 要」の料理人だ。田んぼの特性を見極めて土壌を考え、農薬や肥料は一切不使用。生態系を利用し、周辺環境までも健全な田んぼになるよう改良を繰り返した。米の品種は途絶えていた在来種「遠野1号」一本で、2002年から栽培を復活する。

 03年に遠野市がどぶろく特区を取得した翌年から、どぶろく製造に着手。「初めは未熟な出来で、お客さんに叱咤されて目が覚めた」。岩手県工業技術センターへ通い、つてをたどって奈良県の久保本家酒造へ行くなど研究を重ねた。醸造方法は独特で、米はほとんど削らず、発酵期間は類を見ないほど長期に及ぶ。一般的な日本酒醸造は、酒母ともろみ期間を合わせて長くても1カ月半程度。だが要太郎さんは半年近くも発酵に時間をかける。その時間は、「米が望むまで」だ。そうしてできたどぶろくは、クリアな酸味とうま味、クリーミー感、景色を感じる不思議な魅力を併せ持つ。