「あなたの会社はZ世代に嫌がられるような採用活動をしていませんか?」――そう語るのは、ワンキャリア取締役の北野唯我さん。「常に人手不足」「認知度が低い」「内定を辞退されてしまう」「外資系との給与さが開いている」といった多くの採用担当者、経営者の悩みを解決するため、北野さんが執筆したのが、著書『「うちの会社にはいい人が来ない」と思ったら読む 採用の問題解決』です。これまで属人的で全体像が見えなかった採用活動を構造化し、3000社以上の企業の採用支援実績、180万人の求職者のデータに基づいた「新しい採用手法」を紹介した一冊です。この記事では、本書より一部を抜粋・編集して紹介します。

「自社のことを、もしひと言で覚えてもらうとしたら?」
採用の現場でインターンシップや自社サイト用コンテンツ、会社説明会の際に何を伝えていけばいいのか? これは、その企業のコアともいえる強み、魅力を言語化し、共通認識を形成していくプロセスになる。
具体的には、次のステップで考えていこう。
社員体験の価値をひと言で言語化する
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なぜその価値が重要なのかを言語化する
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根拠になる社内事例やデータを集める
実際に採用担当者が悩むのは、自社の魅力のうち、何を押し出すべきかがわからないときだ。企業イメージの根幹は、言うまでもなく自社の魅力である。自社の魅力は、求職者目線で言い換えると「社員になると、どんなメリットがあるのか」「仕事にどんな魅力があるのか」という社員体験の価値を言語化したものになる。
ところが、社内にいると自社の状況が当たり前すぎて、この言語化ができないこともある。そこでおすすめしたいのが、「自社のことを、もしひと言で覚えてもらうとしたら?」を明確にすることだ。もちろん、実際には伝えたいことはひと言以上あるため、複数個あってもいいが、このプロセスで魅力を端的に言語化できる。
会社説明会や候補者との面談を想像したときに、最後に、いろいろ伝えたいことはあるが、自社のことをひと言で覚えてもらうとしたら何を伝えるべきか。これが言語化されたものが社員体験の価値になる。
社員体験の価値6つのパターン
ちなみに、社員体験の価値には以下のようなパターンがある。「自社のことを、もしひと言で覚えてもらうとしたら?」の参考にしてほしい。
例えばキーエンスのような企業であればわかりやすく「経済価値」、つまり年収をアピールできる。年収をアピールできない場合でも、他の5つのどれかに自社の強みがないかを考えてみると良いだろう。
・【経済価値】報酬や、与えられるポジションがいい
・【業務価値】実際に取り組む業務内容や、得られる経験がいい
・【組織価値】人や社風、福利厚生など、働く環境がいい
・【目的価値】企業が取り組む課題やビジョンがいい
・【就労リスク価値】配属リスク、転勤リスク、転職できないリスクが低い
・【時期的価値】事業環境などのタイミングに起因する、今入社することの魅力
前半の4つは事業や組織の本質的な価値(=コア価値)である。一方で、後半の2つは求職者にとっては実は重要な周辺的な価値(=サテライト価値)である。社員体験の言語化は、「なぜ、あなたは当社に入社すべきなのか」を可視化したものともいえる。