「あなたの会社はZ世代に嫌がられるような採用活動をしていませんか?」――そう語るのは、ワンキャリア取締役の北野唯我さん。「常に人手不足」「認知度が低い」「内定を辞退されてしまう」「外資系との給与さが開いている」といった多くの採用担当者、経営者の悩みを解決するため、北野さんが執筆したのが、著書『「うちの会社にはいい人が来ない」と思ったら読む 採用の問題解決』です。これまで属人的で全体像が見えなかった採用活動を構造化し、3000社以上の企業の採用支援実績、180万人の求職者のデータに基づいた「新しい採用手法」を紹介した一冊です。この記事では、本書より一部を抜粋・編集して紹介します。
採用活動は「投資」である
採用活動は財務の観点からすると投資活動である。売上よりも費用が先行するからだ。キーエンスや三菱商事などの「企業イメージが強い会社」は、このことをよくわかっている。
この投資活動を成功させるために、採用マーケティングとオペレーション、この2つは両方とも重要だからこそ、どう資金を分配するかが重要になる。
「採用マーケティングが大事か? オペレーションが大事か?」この究極の問いに対しては、企業担当者の間でも、考え方が分かれているだろう。
採用マーケティング派は、「採用を効率よく」「戦略的に」勝ちたいと思っているタイプ。一方のオペレーション派は、「取りこぼしがないように」「実践的に」勝ちたいと思っているタイプが多い(読者のみなさんは、あえて言うならどちらに近いだろうか)。
では、この2つに対する投資配分はどのようにして意思決定すべきか?
そもそも採用マーケティングはいつから投資をすべきなのか?
結論から言うと採用予定人数の規模が分岐点になる。
大規模な採用になればなるほど、採用マーケティングの予算割合を増やす必然性が生まれる。一方で、小規模な採用であれば、採用マーケティングの重要度は低く、オペレーションの改善だけで採用人数を充足できる。
より具体的には、今後2~3年間で予定している採用人数により、投資すべき分野は変わる。以下に基準を示したい。
・今後2~3年間での採用人数が100~数千名以上の規模になる(年間採用人数50~数百名以上)
採用マーケティングへの投資が極めて重要。「採用マーケティング改善>オペレーション改善」。
・今後2~3年間での採用人数が50~100名を超える規模になる(年間採用人数15~35名以上)
オペレーションに加えて、採用マーケティングへの投資が必要になってきている。「採用マーケティング改善=オペレーション改善」。(※バランスが大事)
・今後2~3年間での採用人数が一桁または50名未満(年間採用人数1~15名程度)
オペレーションの改善が優先。「オペレーション改善>採用マーケティング改善」。
また、直近2~3年間での採用目標が決まれば、必然的に採用スケジュールも決まる。
中途採用は一般的に、年中実施しているケースが多い。一方で新卒採用のスケジュールは大きく前後することが多い。「直近2~3年間のスケジュールの策定」「露出方針の決定」の2点を考えることで、スケジュールが立てられる。以降は、これがモデルケースになる。
もちろん、現実的には、このスケジュールは企業や市場環境、競合の動きによって前後するが、令和時点でのおおよその計画は図のスケジュールがベストである。