「早くやらなければ!」とわかってるのに、ついつい先延ばしにしがちな「実家片づけ」は、”親が元気なうちに”取り組むことが何よりも大切”というのは、最新刊『「介護」「看取り」「相続」の不安が消える! 実家片づけ』を出版した、片づけアドバイザーの石阪京子氏。実家に溢れるモノを整理し、お金を把握することで、親子ともに幸せになれるそのノウハウを、本書から抜粋・編集してお伝えします。
転倒しやすい場所がないか?
実家にあるモノの片づけの目標は「親が安全に暮らせる家」です。そのポイントは、主に二つ。
・転倒しにくい
・万が一、転倒したときに大怪我をしにくい
マットのはしや、床に置いた新聞紙、座布団、電源コードなどにつまずいて転倒する高齢者は多いです。
視野が狭くなり、足も上がりにくいので、ちょっとしたモノが転倒リスクを高めます。ですから、「できるだけ床にモノがない状態」を維持できるようにするのがベストです。
また、足の筋力だけに頼らないですむように、手すりをつけるのも一案です。
そして、元気な親ほどやりがちなのが、「高いところにあるモノを取ろうとして転ぶ」ということ。押し入れの奥や枕棚などに収納しているモノを椅子に乗って取ろうとしたらバランスを崩して骨折した、という人を何人も知っています。
齢を重ねると、高いところや低いところ(床下収納など)は使いにくくなるので、無理なくモノを出し入れできる範囲(腰~目線の範囲内)にモノを収納するほうが安全・安心です。
二つ目のポイント「転倒したときに大怪我をしにくい」というのは、例えば、
・転んだときに手をつきそうな場所にガラスの家具がない
・床にカーペットが敷き詰められていたり衝撃を和らげられる工夫がされている
ということ。危険なアイテムを取り除くのはもちろん、怪我を最小限に抑える環境づくりが大切です。
本書では家に潜む転倒しやすい危険なポイントをあげています。まずは、そういった危険な場所がないようにしていきましょう。
最終的には車椅子が通れるまで家具を減らすことも見据える
今はまだ親御さんが普通に生活できているとしても、足腰は徐々に弱ってきますし、どんなに気をつけていても病気や事故がきっかけで車椅子生活になることもありえます。突然そうなることも多いので、実家片づけの最終目標は「車椅子が通れるまで」家具を減らすことです。
家の中のどこを車椅子で通れるようにするかは人によって変わってきます。その人が、何をしたいのかが大事。
自分で料理をしたいならキッチンまでの動線は確保する必要がありますし、トイレにさえ行ければいいというなら、そのルートを片づければいいでしょう。ただ、間違いなく言えるのは、車椅子で行動できる範囲が広いほど自分でできる可能性も増えるということ。移動さえできれば、トイレもお風呂も料理も自分でできる場合がありますし、玄関に移動できれば散歩も買い物もできます。
*本記事は、石阪京子さんの最新刊『「介護」「看取り」「相続」の不安が消える 実家片づけ』から、抜粋・編集したものです。