「早くやらなければ!」とわかってるのに、ついつい先延ばしにしがちな「実家片づけ」。「実家片づけ」をしないまま親が認知症になったり亡くなったりすると、「お金」「時間」「労力」という負担が子ども世代にのしかかってくるので、「実家片づけ」は”親が元気なうちに”取り組むことが大切です。とはいえ、ほとんどの親は、最初は片づけることに反対し、親子喧嘩に発展することもしばしばです。乗り気じゃない親を説得し、実家の膨大なモノや書類を片づけ、親が最期まで楽しく安全に暮らせる家にどう変えていくか……。親子だからこそ難しい「実家片づけ」のポイントを解説した、片づけアドバイザー石阪京子氏の最新刊『「介護」「看取り」「相続」の不安が消える! 実家片づけ』から、そのテクニックを抜粋・編集してお伝えします。
キッチンが片づくとお年寄りにとって料理や洗い物は格段にラクになる!
「生活がラクになる」というのも、片づけの大きなメリットです。特に、体力が落ちている高齢者にとってはメリットが大きいはず。
ですから、お年寄りのおうちを片づけたい時には、例えば、こんな声かけが有効です。
「キッチンが片づくと、料理や洗い物がラクになるよ」
「モノが少ないと、掃除が簡単だし時短になるよ」
ポイントは、相手が想像しやすいように具体的に説明すること。「キッチンが片づくと、料理や洗い物がラクになるよ」の場合の、うちの父とのやりとりを紹介します。
水切りかごをなくすことを提案する場合には…?
水切りかごは多くの方が当たりまえのように使っていますが、実は、ないほうが家事も片づけもラクになるものです。とくに父は高齢者の一人暮らしだから、そんなに洗う物はありません。それなのに、水切りかごが場所を取って、狭い範囲で無理やり包丁を使っているから危ないし、水切りかごはヌメヌメしていて汚い。だから、なくすことを提案しました。
「試しに、水切りかごをなくしてみたら?」
「そんなのありえへん。どこに食器置くねん」
「タオルでも敷いて、そこにのせといたら吸収するやん? それをちゃちゃっと拭いて食器棚にしまえばええねん。で、洗濯機にタオルを入れて洗濯したら終わりやん」
「うーん」
「それに、そんな狭いところやと料理しにくいやろ? なくなったら広なるで~。キャベツ置いて、お皿も置いて、まな板も置いて、パパッと準備ができるから、お父さんもそのほうがラクちゃうん?」
「……たしかにそうやな」
こうして、現在は水切りかごがない生活が定着しています。生活に密着した内容は、イメージがしやすいので説得材料としておすすめです。
*本記事は、石阪京子さんの最新刊『「介護」「看取り」「相続」の不安が消える 実家片づけ』から、抜粋・編集したものです。