「ぜんぜん返信がなくて、催促したい!」と思ったとき、感じのいい人はどんなメールを送るでしょう。
それを語るのは、「感じのいい人」に生まれ変われるとっておきのコツを紹介する書籍『気づかいの壁』の著者・川原礼子さんです。職場で困っている人を見かけても、「おせっかいだったらどうしよう…」と躊躇したり、「たぶん大丈夫だろう…!」と自分に言い訳したり……。気づかいをするときには、つい「心の壁」が現れてしまい、なかなか一歩が踏み出せないことが、あなたにもあるのではないでしょうか? この連載では、「顧客ロイヤルティ(お客さまとの信頼関係づくり)」をベースに、ビジネスセミナーへの登壇やコミュニケーションスキルの研修講師を通して、全国200社・2万人以上のビジネスパーソンに向けて教えてきたノウハウを、さらにわかりやすくお伝えします。本稿では、本書には入りきらなかった「気づかいのコツ」について紹介しましょう。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)
上手な「催促」のコツ
ビジネスの場では、依頼した仕事に対して「催促」が必要になることがあります。
私は企業向けにコミュニケーションの講師をしていますが、関係構築をテーマにした研修でも、毎回と言っていいほど、催促に関するお悩み相談を受けています。
自分の主張をするのが苦手な人や、催促をすることで関係が悪化するのではと不安に思う人は、慎重になりがちです。
今日は、私がこれまでに出会ってきた「感じのいい人たち」が実践している、上手な催促のコツを3つご紹介します。
1. 相手の状況を尋ねる
まずは、相手の状況を尋ねる方法です。
遅れには何らかの事情があるかもしれませんので、相手の立場を考慮する姿勢を見せます。
例)「〇〇について、昨日12日(月)を期限にしておりましたが、進捗はいかがでしょうか? お力になれることがあれば、お知らせください。」
このように質問しつつ、サポートの意向も示すことで、不必要にプレッシャーを与えずに済みます。
相手が単に忘れていた場合には、素直に申し訳なかったという思いが生まれ、対応してもらえるでしょう。
2. 明確な期限と理由を提示する
次に、明確な期限とその理由を伝える方法です。
「できるだけ早く」といった曖昧な表現は人によって解釈が異なるため、具体的な期限を設定しましょう。
例)「今回お願いしている資料は、会議参加者に前日までに共有する予定です。つきましては、明日15日(火)12:00までにご提出いただけますでしょうか。」
理由や遅れることによるリスクを明示することで、相手も優先順位を上げて対応しやすくなります。
3. リマインドを計画に組み込む
催促のストレスを減らすためには、最初の依頼時にリマインドを計画に組み込んでおくことが有効です。
例)「先週ご依頼した〇〇の資料作成について、期日の10日(月)が近づいてきました。何かご不明点があれば、お気軽にご連絡ください。」
相手を気づかう言葉をそえたリマインドは、期日を守る意識を高めます。
そして、期日どおりに提出してもらった際には、「早めに提出いただき、たいへん助かりました。お忙しいところ、ありがとうございました。」などと、感謝の気持ちを忘れずに伝えることが重要です。
相手に次回以降も、早めに対応しようという思いが強化されます。
いずれも、私の周囲にいる感じのいい人が実践している、相手との信頼関係を保ちながら、仕事をスムーズに進める催促の方法です。
催促に悩んだ際には、ぜひ参考にしてみてください。
(本記事は、『気づかいの壁』の著者・川原礼子氏が特別に書き下ろしたものです。)
株式会社シーストーリーズ 代表取締役
元・株式会社リクルートCS推進室教育チームリーダー
高校卒業後、カリフォルニア州College of Marinに留学。その後、米国で永住権を取得し、カリフォルニア州バークレー・コンコードで寿司店の女将を8年経験。
2005年、株式会社リクルート入社。CS推進室でクレーム対応を中心に電話・メール対応、責任者対応を経験後、教育チームリーダーを歴任。年間100回を超える社員研修および取引先向けの研修・セミナー登壇を経験後独立。株式会社シーストーリーズ(C-Stories)を設立し、クチコミとご紹介だけで情報サービス会社・旅行会社などと年間契約を結ぶほか、食品会社・教育サービス会社・IT企業・旅館など、多業種にわたるリピーター企業を中心に“関係性構築”を目的とした顧客コミュニケーション指導およびリーダー・社内トレーナーの育成に従事。コンサルタント・講師として活動中。『気づかいの壁』(ダイヤモンド社)が初の著書となる。