モチベーションが下がる仕事や要因を洗い出してみる
話のわかる仲間と一緒に、自分たちのモチベーションを下げている仕事、やり甲斐の感じられない仕事を書き出してみよう。
大阪市の水産加工業、株式会社パプアニューギニア海産は「好きな日に働ける」「嫌いな作業はやってはいけない」などのポリシーを掲げ、働くメンバーのモチベーションを重視して事業を運営している。東京のIT企業、株式会社TimeTreeは自社が展開するITサービスの定期システムメンテナンス作業を土日から平日の日中時間に切り替えた。作業を担当するメンバーへの負荷や作業環境を配慮しての判断だ。メンバーの健康面の負荷がヒューマンエラーを誘発し、大規模障害を引き起こすこともある。
上記の事例のように大胆な行動に踏み切ることができなくても、モチベーションを下げる仕事を少しでもなくす、減らす、または外注するだけで、メンバーの仕事に対する意欲も会社に対する信頼感も高まる。
筆者は人のモチベーションは無理に上げようとするのではなく、むしろモチベーションを無駄に下げているものをなくしましょうと主張している。人は本来、誰かのために、社会のために役立ちたいポジティブな意思を持っている。その意思を発揮してもらうためにも、モチベーションを下げている仕事や要因をまずは言語化してみよう。
対話と交渉をする
自分たちのモチベーションを下げている仕事、やり甲斐や達成感を妨げている作業や環境が把握できたら、次は、それを「なくしていきたい」「減らしていきたい」と意思決定者に伝えよう。
正しく交渉をすると、意外に理解を示し、すんなり受け入れてくれる人もいる。勇気を持って伝えてみよう。
達成感を小さく刻む
とはいえ、減らすことのできない、なくすことのできない仕事もある。社会インフラを維持、運用する仕事など、決して派手ではないが重要な仕事も世の中にはたくさんある。
そのような仕事は、達成感を小さく刻もう。
たとえば一つの作業が終わったら「ありがとう」「次に進めますね」など明るく声をかける。休憩や休暇を挟む。その仕事が誰にどう役立っているのか、会社の収益などにどう貢献しているのか、リーダーがメンバーに説明する。経営陣から感謝の言葉をかけてもらう。
そのような小さなコミュニケーションが小さな達成感を育み、仕事へのエンゲージメント維持につながる。達成感のリズムを大切にしよう。
・モチベーションを下げている仕事や要因を洗い出す
・そういった仕事を減らしたりなくしたりできないか交渉する
・小さな達成感を創る
(本稿は、書籍『組織の体質を現場から変える100の方法』の内容を一部抜粋・編集して作成した記事です)
作家/企業顧問/ワークスタイル&組織開発/『組織変革Lab』『あいしずHR』『越境学習の聖地・浜松』主宰/あまねキャリア株式会社CEO/株式会社NOKIOO顧問/プロティアン・キャリア協会アンバサダー/DX白書2023有識者委員。日産自動車、NTTデータなどを経て現職。400以上の企業・自治体・官公庁で、働き方改革、組織変革、マネジメント変革の支援・講演および執筆・メディア出演を行う。『チームの生産性をあげる。』(ダイヤモンド社)、『職場の問題地図』(技術評論社)、『「推される部署」になろう』(インプレス)など著書多数。