同じような商品・サービスを扱っているにもかかわらず、楽しそうにラクラクと稼ぐ人がいる一方で、思うように稼げず苦悶にあえぐ人もいる。
その違いは、年齢や経験、持って生まれた才能によって生まれているとは限らない。
稼げない人も、稼げる人と同じように努力はしているだろう。しかし、結果には大きな違いが出る。
その原因は、ほんの一語の違いにあったのだ。
その一語の違いをまとめたのが、この道25年「日本のトップマーケッター」神田昌典氏による、一番やさしい、すぐ使えるコピーライティングバイブル『【スーパーパワーアップ版】稼ぐ言葉の法則 ── 貧す人が稼ぐ人に変わる「売れる法則85」』だ。
本書では、たった一語の差で、貧す人が稼ぐ人に変わる「売れる法則85」が公開されている。
今回は本書より一部を抜粋・編集しながら、たった一語で天国と地獄に分断される「怖さ」と、一語変えるだけで大きく現実が変わる「面白さ」を見ていこう。

顧客と「プツッと切れてしまう人」と「一生つながる人」の口グセ。その決定的な一語の差とは?Photo: Adobe Stock

【貧す人】と【稼ぐ人】の決定的な一語の違い

 今回紹介するのは、「否定形より肯定形の法則」である。

【貧す人】できないことはできないと、はっきり否定しよう
【稼ぐ人】できないことでも、肯定的な言葉で言おう

少し気づいたことがあるので、お伝えしてもいいですか?

 アドバイスする前に、このように許可をもらうようにすると、相手はとても受け入れやすくなる。

経験工学で判明した意外な事実

 このように、言葉の使い方によって相手に負担をかけない、相手に手間を感じさせないようにする研究分野がある。それが「経験工学」だ。

 経験工学については、『おもてなし幻想』(マシュー・ディクソン+ニコラス・トーマン+リック・デリシ共著、神田昌典+リブ・コンサルティング日本語版監修、安藤貴子訳、実業之日本社)に詳しく書かれている。

 この本によると、感動的なサービスと顧客がファンになってくれることとは直結しないことがわかった。

 これは日本人にとっては衝撃で、ディズニーは感動的なサービスを提供しているのでは? と思うかもしれない。

 確かにそうなのだが、それは極めて特異なケースで、調査結果では、一般の会社には当てはまらないという。

 顧客流出を食い止めるのに重要なことは、「顧客に負担をかけないこと」だったのだ。

 ここでいう「負担」とは、典型的な例でいうと、入力箇所が非常に多い申込フォームなどだ。

 経験工学のポイントは、実際の顧客の作業量が多くても、それを「手間と感じないような言葉づかい」をする点だ。

 そして、顧客が手間と感じているか否かは、アンケートで指標化する。
 それが、CES(Customer Effort Score:顧客努力指標)と呼ばれるものだ。

常に「肯定形」で、相手とつながろう

 CESのアンケートは次のような文言で構成され、通常7段階(1~7)で回答してもらう(詳細は本書)。

「商品を購入するまでのステップで、どの程度ストレスがありましたか?」

 経験工学を今日から実践するために、まず手軽にやってほしいのは、「否定形」を使わず、「肯定形」の文章にすること。

否定形:「ただいま注文が混み合っており、翌日発送できません」
肯定形:「大変ご好評をいただいております関係で、〇月〇日の発送となります。お待たせして大変申し訳ありませんが、こちらの使用例の動画をご覧になり、イメージを膨らませて、到着をお待ちください」

【貧す人】は、否定形で会話をストップさせるが、
【稼ぐ人】は、肯定形で、相手とつながるようにするのだ。

(本稿は『【スーパーパワーアップ版】稼ぐ言葉の法則 ── 貧す人が稼ぐ人に変わる「売れる法則85」』の一部を抜粋・編集したものです)