担当になったのは、松原氏(34歳・男性)でした。丁寧で親身に話を聞いてくれる松原氏を信頼して、逸美さんは調査を依頼しました。
良い探偵に出会えたと
感謝していたが
的確に調査を進める松原氏は2回目の調査で、友樹さんが浮気をしている証拠を押さえました。
逸美さんは、覚悟はしていたものの、いざ真実を聞かされると自分でも想像していないほどに落ち込みました。逸美さんの愚痴を黙って聞いてくれたり、励ましてくれたりする松原氏の誠実な人柄に、良い探偵に出会えたと感謝していました。
探偵の仕事は調査した内容を報告書にまとめて、依頼者に報告することで終わります。探偵によっては離婚に向けて必要な手続きや、知り合いの弁護士を紹介するなど、アドバイスやアフターケアを行う人は、私を含め少なくありません。松原氏も同様に、調査終了後も逸美さんの質問に答え、アドバイスのため連絡を取り続けていました。
お互いに、仕事や人間関係や趣味について話すこともあり、依頼者と探偵の枠を超えるような会話も増えていきました。
松原氏から共通の趣味として盛り上がった映画に誘われたことで、逸美さんはさすがに親しくなり過ぎたことを感じ、丁重に断ったのち、それ以後はプライベートの話をすることを避けるようにしました。それでも松原氏は別の映画に誘ってきたり、食事に誘ってきたりしてきました。
断り続けても何度も誘ってくる松原氏はエスカレートし、ついには自宅の前で待ち伏せをするなどの行動に出始めました。探偵としての“親身な対応”から、明確な“ストーキング行為”へとエスカレートしていったのです。