自部署のことを知ってもらう

 相手を知る前に、まずはこちらのことを知ってもらおう。
 
自部署にどんなメンバーがいて、どんな思いを持って仕事をしていて、どんな目標を掲げ、どんな取り組みをしているのか。自部署のことを発信してみよう。

 社内のイントラネットのサイトに部署紹介を掲載するもよし、社内ブログを書くもよし、あるいは手を挙げて社内報に取り上げてもらうもよし。または社内勉強会などを仕掛けてみるのもよいだろう。

 新明工業(愛知県豊田市)は情報システム部門が中心となり、ITに関する社内勉強会を定期的に開催している。他部署の人たちが集まって一緒に学び合い、そこからお互いに相談しやすい関係、協力しやすい関係が芽生えてきたという。

社内横断プロジェクトを立ち上げてみる

 自部署だけで解決できないテーマに向き合う際、他部署の協力を仰いで社内横断プロジェクトを立ち上げてみよう。
 
その際は、経営企画部門や人事部門などと相談し、評価の仕組みや人的リソース確保の仕組みも設計しながら進めるとよい。

自部署のスペースを解放する

 自部署を知ってもらうために、部署のスペースの一部を他部署の人に解放する。

 筆者が出入りしている大手製造業の開発部門は、部署の大部分をオープンスペースに改装し、他部署の人が自由に出入りして作業やミーティングをできるようにしている。感謝されるとともに、他部署の人たちが開発部門に気軽に寄ってくれるようになった。
 さらには開発部門の有志がオープンスペースで勉強会を開催し、他部署の人も参加できるようにしたり、図書コーナーを設置して本を読みながら会話できるようにしたりなど、社内コミュニケーションのハブとしても機能し始めている。

 自部署を他部署に解放してみよう。そこから越境・共創しやすい雰囲気を創ろう。

 上記の方法は効果的ではあるが、とはいえ共創に慣れていない人も多数いる。
 共創を進める上で求められる能力、具体的にはファシリテーション能力、対話能力、ロジカルシンキング、クリティカルシンキング、プレゼンテーション能力。それらを強化するトレーニングも並行して行おう。これらの能力は、やがて社外の人たちと共創をする上でも間違いなく役立つ。

一歩踏みだす!

 ・自部署の取り組みを発信してみる
 ・社内横断プロジェクトを立ち上げてみる
 ・自部署のスペースを他部署に解放してみる

(本稿は、書籍『組織の体質を現場から変える100の方法』の内容を一部抜粋・編集して作成した記事です)

沢渡あまね(さわたり・あまね)
作家/企業顧問/ワークスタイル&組織開発/『組織変革Lab』『あいしずHR』『越境学習の聖地・浜松』主宰/あまねキャリア株式会社CEO/株式会社NOKIOO顧問/プロティアン・キャリア協会アンバサダー/DX白書2023有識者委員。日産自動車、NTTデータなどを経て現職。400以上の企業・自治体・官公庁で、働き方改革、組織変革、マネジメント変革の支援・講演および執筆・メディア出演を行う。『チームの生産性をあげる。』(ダイヤモンド社)、『職場の問題地図』(技術評論社)、『「推される部署」になろう』(インプレス)など著書多数。