入り混じる期待と不安
どうしても前作『虎に翼』と比べてしまう
前作の『虎に翼』は、法曹関係者など一部からとにかく評判が高かった。戦前・戦中・戦後史を女性法曹の目線で描き、なおかつ、選択的夫婦別姓や同性婚など、現代にも続く社会課題がこれでもかと盛り込まれていたからだ。一方で、ポリコレ(ポリティカル・コレクトネス/差別的表現の是正)を煙たがる層からは、息苦しいという評価もあった。
これは『おむすび』への評価へも直接的につながってきているようで、「とらつばロス」を抱える人にとって『おむすび』はやや物足りなく、逆に『虎に翼』の社会派な部分にノレなかった人にとって、『おむすび』は「いつもの朝ドラが戻ってきた」とホッとする感覚があるようだ。
個人的には、『虎に翼』のヒロインを演じ切った伊藤沙莉(子役出身で29歳にして芸歴20年)の後のヒロインが、すでにキャリアがあるのは同じでも、雰囲気のまったく違う俳優である橋本環奈で良かったように思う。
また、初週を見ての予想としては、『おむすび』ではおそらく結が幼い頃に経験したであろう1995年の阪神淡路大震災が一つのテーマとして扱われるはずだ。物語が2004年から始まっていることから、登場人物たちは東日本大震災や、それ以外の災害も経験するかもしれない。
震災大国日本で生まれ育てば、誰もが災害と無縁ではいられない。事前に広報されていた「ギャル」と「食」以外に、災害がどのようにドラマと絡んでくるのかは、今後見過ごせないポイントであるし、ドラマの厚みにも関わってくる部分だろう。