朝ドラ「虎に翼」の放送が最終週を迎えている。日本初の女性裁判官、三淵嘉子をモデルにした寅子(ともこ)を主人公に、日本の司法の流れを総覧してきたドラマだが、先週放送された第25週「女の知恵は後へまわる?」では、実際に法曹界で起きた事件「ブルー・パージ」について描かれた。当時の若手裁判官たちに対し、実際には、ドラマ以上に苛烈な処遇がなされたこの事件。当事者となった裁判官たちがその後どんな人生を歩むことになったのかを紹介したい。(高瀬文人)
※本記事には、9月20日放送分までのネタバレが含まれます。
「虎に翼」9月放送分に司法関係者が注目した理由
日本国憲法第76条3項(裁判官の独立)
すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。
連続テレビ小説「虎に翼」の放送はいよいよ最終週に入り、クライマックスを迎えている。日本初の女性弁護士、女性裁判官のひとりである三淵嘉子をモデルにした佐田(旧姓・猪爪)寅子を主人公に、戦後間もない1947(昭和22)年に施行された日本国憲法に新たに加えられた第13条(幸福追求権)、14条(法の下の平等)や、それに基づいて改正された民法(家族法)の新しい家族のあり方と、非行少年は立ち直れる可能性(可塑性)を持っているから、刑罰より教育や福祉的な働きかけを行うという、戦前からの伝統を引き継いだ「保護主義」に基づいた新しい少年法のあり方、双方から作られた「家庭裁判所」の設立に尽力した人々の群像劇を中心に、日本の司法の流れを総覧してきた異色のドラマだ。
9月になり、ドラマが1970年代に入ると、「あの事件」がどう取り上げられるか、司法関係者の緊張感は俄然上がった。