『虎に翼』は、69歳で逝去した三淵嘉子をモデルにした一代記であったため、放送期間の半年の中で時代がどんどん変わって行った。『おむすび』は、おそらく20年程度の物語となるはずである(2024年より後の未来を描くのでなければ)。ヒロインの成長をじっくりと見たいと思う人にとっては、今回の時間の流れを心地よく感じるかもしれない。

散りばめられた「福岡愛」がすごい!
ご当地ドラマとしての『おむすび』

『ちむどんどん』のヒロイン・黒島結菜が沖縄県糸満市出身、『ちゅらさん』ヒロインの国仲涼子が沖縄県那覇市出身だったことは有名だが、今回は福岡県を舞台に、福岡出身俳優である橋本環奈が演じる。

 また、2000年代にギャルの教祖として崇められた浜崎あゆみも、福岡県福岡市出身だ。『おむすび』の中では初週から何度か「アユ」の名前が聞かれた。伝説のギャルである結の姉の名が「アユ」であるからでもあるのだが、その他に街中で帰郷ライブの告知看板があったり、曲が流れていたりと、あの時代の象徴として「浜崎あゆみ」が随所で登場する。

 さらに、結の祖父・米田永吉(松平健)はホークスファンであり、グッズを身にまとって登場するシーンがすでに何度かあった。監督時代の王貞治(現・福岡ソフトバンクホークス取締役会長)も画面に映る場面すらあった。

 これは、今後もご当地出身有名人が画面に登場する気配を予感させる。地方を舞台とした朝ドラはこれまでも多くあるが、今回は特にご当地色の強い朝ドラとなり、これが底力となりそうな気配もある。

 朝ドラが終わってすぐの『あさイチ』での「朝ドラ受け」も近年特に話題であり、『あさイチ』といえば博多華丸の二人だ。この点も注目していきたい。