この私にしても、「他人の本当の気持ち」は分かりようがありませんから、どういう根拠で「豊かな暮らしを手に入れている人々の姿」として坂本さんの目に映ったのか、それを知る術を持ちません。

 ただ、定年後の高齢者の多くが「実際に日本経済のある部分を陰ながら支えている」というのは事実です。

 でもそれが、「ある人にとって豊かな暮らしを手に入れた」と映るにしても、やはりその一方で、「どこから見ても豊かな暮らしをしているようには見えない」と私が思うのも自然ではないでしょうか?

 繰り返しになりますが、「他人が本当はどんな思いでいるのか」を知る術を、誰もおそらく持ち合わせていないでしょうが、確かに坂本さんのおっしゃるように、「その多くの人々にとって、そんな小さな仕事でもあるからこそ、豊かな暮らしを手に入れられたのだ」と思いたいものです。

 そんな私たちは、「本当に豊かなのか?」について、この機会に一度、真剣に考えてみるのも、有意義ではないでしょうか?