人生100年時代と言われる昨今。前々回の記事では、定年退職後を乗り切るためには、50代で働き方を見直したほうがいいということをお伝えしました。働き方を変えるとなると、「転職」や「副業」などが思い浮かぶのではないでしょうか。今回は、中高年の転職事情、そして収入を複線化する方法について考えます。(社会保険労務士 佐佐木由美子)
中高年の転職はやっぱり難しい?
中高年の転職市場については、「年収など求める待遇が高すぎるためコストパフォーマンスが見合わない」「中高年は最新のITスキルについていけない」など、軒並み厳しい見方がこれまで多数派でした。しかし、人手不足感が高まる昨今では、少し違う見方も出てきています。
転職コンサルタントに「定年延長によるミドル・シニアの活用」についてアンケート調査を行ったところ、43%が「50代を対象とした求人が増えている」と回答。特に中小企業においてその傾向がみられるようです。増加していると感じる理由のトップは「若手人材の不足により、採用人材の年齢幅を広げざるを得ないため」(63%)、「既存事業拡大に伴う、経験者募集が増えているため」(58%)となっています。人手不足感の強い業界では特に、年齢幅を広げた採用が広がる可能性もあります。
一方、「50代の雇用の流動性が低い」と感じるコンサルタントは45%おり、楽観的に考えるのはリスクもあると言えるでしょう。
実は50代男性よりもミドル層の女性転職者の初年度年収が1〜2割程上昇しているという調査結果もあります。ミドル女性が持つ非対面でのコミュニケーション能力や職場でのロールモデルを示す役割への期待感が後押ししているようです。