定年後に再就職の面接を受ける席で、多くの人が強く感じる“ある疑問”とは写真はイメージです Photo:PIXTA

14回もの転職を経験し、現在は人事コンサルティングに就く著者が説くのは、定年後の「再就職の難しさ」。そんなとき、魅力的に目に映る求人は、採用される可能性が高い「小さな仕事」だ。施設の警備員や管理人といった職に就いた高齢者は日本経済を陰ながら支える存在となるが、彼らは果たして「豊かな暮らし」を実感しているのだろうか?本稿は、梅森浩一『定年いたしません! 「ジョブ型」時代の生き方・稼ぎ方』(光文社新書)の一部を抜粋・編集したものです。

再就職面接で感じる
「当て馬」候補の疑惑

 みなさんが将来、「定年」後に、機会に恵まれて再就職の面接に進んだ時に、ひょっとしたら私がここ何年も感じてきた、ある「疑惑」と同じ思いを抱かれるかもしれません。

 ちなみにその「疑惑」とは、「ひょっとしたら、自分は『当て馬』候補者なのではないか」というものです。

 今まだ30~40代のサラリーパーソンにとってみれば、このような扱われ方は「まだまだ自分には無縁なもの」でしょう。ただし、年齢が上がると、ほぼ例外なく、「1%の面接のチャンスでも、まだあるだけマシだ」と思うことになります。

 すると私自身がそうだったのですが、その一見すると「ラッキー」と思える久々の面接や、時に「カジュアル面談」と呼ばれる面接を受けた際に、ふと次のような疑惑を強く感じる瞬間があるのです。

――本気で私を採用するつもりがあるのか?

 つまり、リクルーターにしてみれば、その職責上、やはり「候補者数名と面接した」という結果を残すことが求められているからです。

 いわゆるKPI(key performance indicators:重要達成度指標)と呼ばれる「数値目標」の1項目にあるからです。

 結果として、最初から「当て馬」候補者の1人としての私は、見るからに採る気がなさそうな、形ばかりの面接を受け続けることになります。