人生100年時代と言われる昨今。60歳になったら定年退職、そのまま隠居暮らしするという人は減り、働き続ける人が増えています。それまで同じ会社で正社員として勤め続けた人も、定年後の働き方はさまざま。再雇用で嘱託社員、契約社員として働き続ける人もいれば、違う会社に再就職、フリーになって業務委託……どんな働き方をするか、自分で選んで決めなくてはなりません。雇われる働き方、雇われない働き方、それぞれの長短を押さえておきましょう。(社会保険労務士 佐佐木由美子)
雇われる働き方、雇われない働き方の違いは?
働き方には、組織に属する「雇われる働き方」と、独立・起業による「雇われない働き方」に大別できます。特に定年まで企業に属して働いていた方にとって、次にどちらの働き方を選んでいくのか、じっくりと考えるのは重要です。というのも、両者には大きな違いがあり、お金の稼ぎ方や社会保険の考え方なども異なるからです。
雇われる働き方の代表格は「正社員」ですが、定年後は「嘱託社員」や「契約社員」など、有期の労働契約になるのが一般的。給与の受け取り方は、時給や月給日給制に変わることもあるかもしれませんが、労務を提供する代わりに給与を受け取る労働契約という点では同じです。最低賃金法に守られているため、1時間働くと成果の有無にかかわらず給与がもらえます。その点、どのくらいの労働をすればいくら稼げる、というのがわかりやすく、生計を立てやすいといえます。
一方、「個人事業主」や「フリーランス」など、雇われない働き方とは、自分自身でビジネスを生み出すということです。自ら営業して、受注、業務等を行います。収入自体が不安定ともいえますが、定年がないというメリットはあります。近年、その両者を掛け合わせたハイブリッド型で複数の収入源を得る働き方も注目されています。