目標は、達成された。通ってきた道が険しかっただけに、込み上げてくる達成感も圧倒的だった。ふわふわとした気持ち、夢見心地に全身を委ねてしまいたい衝動は、もちろん、田中にもあった。
だが、視界の片隅で捉えていた残像が、それを許さなかった。
「ぼくがジェイミーのチームで見てきた地獄は、メンバー全員が潜り抜けてきた地獄だったと思うんです。ぼくはジャージを着られるけど、着られへん人間もいる。そういう選手たちが流してる涙を見てしまったら、残った人間は彼らの分までやらなあかん。その人の分まで、結果を残して、ああ、やっぱ強いチームだったんやなって思ってもらわなあかん」
入ること、だった目標は、浅い眠りが明けた翌日には、完全に切り替わっていた。
選ばれた以上は、やるしかない。
もう、勝つしかない。