スマホを見る2人の女性写真はイメージです Photo:PIXTA

生身の人間には不可能なスピードで文章を生成する生成AI。AIが小説を書くようになったら、作家に取って代わってしまうのだろうか?中国のネット小説サイトで、実際に「AIが作家に取って代わる」ような事態が起きてしまった。AIが小説を書くようになった結果、人間の作家が遭遇した「著作権侵害」よりも恐ろしい事態とは。(中国アジアITライター 山谷剛史)

生成AIは作家の仕事を奪うのか?

 生成AIは、作家に取って代わるのだろうか?この問いに対するヒントとなるような出来事が、中国で起きた。バイトダンス社が提供する無料ネット小説サイト「番茄小説」が、AI使用の可否を巡って、同サイトに登録する作家たちと大きく揉めて話題となっているのだ。

 番茄小説はサービス規約に「AIトレーニング補足規約」を新たに追加した。この規約は、同サービスのコンテンツ開発のために、プラットフォームのAIに向けて作品を「フィード」することに著者が同意することを要求するというもの。言い方を変えれば、作品を生成AIの学習に活用することへの同意を作家に求めるという規約である。規約に同意すると、作品のタイトル、序文、概要、章、登場人物、さらには作者の個人情報、表紙画像など、作品に関するあらゆる情報をAIの学習に活用できるとしていた。

 番茄小説では、「作家の執筆効率と(ユーザーの)読書体験を大幅に向上させるため。現時点では、作家をAIに置き換えようという意図はなく、純粋なAI小説を作成する計画はない」と弁明している。

 この規約変更に対し、番茄小説に登録している作家だけでなく、登録していない作家も反対の声を上げた。同サービスで5年間執筆し3万人のファンを抱える人気作家も「もう書くつもりはない」と肩を落とした。