中国製スマートフォンは、今も世界で高いシェアを占めている。米中関係の悪化に伴って、米国でHuawei製品の販売が禁止されるなど苦境にあるものの、その「安さ」を支持するファンはいまだ多い。だが、中国製スマホの売り上げが、実は母国である中国で落ち込んでいることをご存じだろうか。各社がこぞって市場に投入している「折りたたみスマホ」も、まだ様子見の消費者が多く、爆発的な売り上げにはつながっていない。その要因を詳しく解説する。(中国アジアITライター 山谷剛史)
「中国製品は粗悪なので買わない」は
スマホには当てはまらない時代に
Xiaomi、OPPO、そしてHuawei――。中国のスマートフォンメーカーは、中国国内だけでなく世界中でファンを増やしてきた。
2022年5月の時点で、世界40カ国・地域におけるシェアでXiaomiは3位、Huaweiは4位につけている(アウンコンサルティング調べ)。
昨今は米中関係の悪化に伴い、Huaweiが米国で販売禁止になったほか、他社製品も個人情報流出のリスクが叫ばれるようになった。それでも、Vivo、Honor、OnePlus、Realmeといったメーカーの名が世界的に知られるようになってきた。
世界各地で根付く「中国製品は粗悪なので買わない」といった考えは、スマホについては当てはまらなくなっている。
中国のメーカー各社は、現地に根差した営業活動やマーケティングに時間をかけて、その「誤解」を解いてきた。今では、中国メーカーのスマホは多くの国の人々にとって身近な存在になっている。
だが皮肉なことに、肝心の中国市場で、中国メーカーのスマホが売れなくなっているのをご存じだろうか。
市場調査会社のCINNO Researchによれば、22年の中国市場のスマホ販売台数は前年比19.0%減の2億5500万台となり、この8年ではじめて3億台を割り込む年となった。
同じくIHS Technologyによれば、15年の販売台数は4億1700万台であり、このときの6割程度まで縮小したことになる。
一方で、中国市場ではAppleのiPhoneの売れ行きが急拡大している。その裏で何があったのか。