だからブレントの部下たちは暴力を知っていた。
密かにアメリカ兵に協力していたイラク人の死体を発見した兵士たちも知っていた。
その協力者は万力に頭を締めつけられて殺された。そして兵士たちが発見したときに協力者が万力に固定されたままだったのは、わざとそうして見せつけたのだ。ひとりの人間の身になにが起きたのかを知らせるためではなく、ほかの者全員に――万力に締めつけられていない者全員に――おまえの身にも起きるという恐怖を植え付けるために。
どうして助けてくれなかった
炎に包まれた少年運転手の声
あれも暴力だった。
行動があり、その行動への反応がある。暴力には実に多くの層があることを、ブレントはエルサレムで改めて学んだが、イラクでは幾度となく学んできたのだ。暴力の後にやってくるのは道義的な罰で、しまいには精神が蝕まれ、多くは悪夢で終わることを。
アイアティの身に起きたことを見ればいい。兵士だったアイアティはかつて、「夢をとめてくれる薬があるなら、いますぐに飲むのに」と言った。