しかし、国は議院内閣制なのでトップである総理大臣には、原則として大統領ほどの強い権限はありません。

 だからこそ、日本では「派閥政治」が幅を利かせてきました。

現在の内閣総理大臣は
首長並みの権限を持っている

 ところが、「人事の天才」と言われた小泉純一郎首相が2001年に登場してから、その流れが劇的に変わっていきました。

 2014年には、当時の安倍晋三首相が内閣官房に「内閣人事局」という新しい組織を設け、省庁の幹部の人事をまとめて管理するようになりました。こうして総理大臣は閣僚の罷免権に加え、官僚たちを異動させられる力も持ったため、今や自治体の首長のように予算をシフトすることも可能です。

 安倍政権が7年8カ月に及ぶ「最長政権」となったのも、人事権をフル活用して官僚を統治したからに他なりません。

 このように、現在の総理大臣は首長並みの権限を持っています。だからこそ、私は「明石市にできることは国でもできる」と方々で事あるごとに発言しているわけです。

 問題なのは、その権限を既得権益のために使うのか、国民のために使うのかということ。残念ながら昨今の総理大臣の言動を見るに、権限を「国民のため」に使っているようにはとても思えません。