今年のノーベル物理学賞を受賞したジェフリー・ヒントン氏(76)は、自らが技術の基礎を作った人工知能(AI)システムについて次のようなメッセージを発している。安全性への取り組みを本格化しなければ、人類を危険にさらす可能性がある、と。
「歴史の分岐点にいると思う。今後数年でこの脅威にどう対処するかを見極める必要がある」。8日に行われたノーベル賞関係者とのインタビューでヒントン氏はこう語った。インタビューは、自身の功績に対する誇りとAIがもたらす危険性の高まりへの警告が入り交じる内容だった。
ヒントン氏は昨年、グーグルを退社した。それはAIシステムが人間の制御を回避し、選挙に影響を与えたり、危険なロボットを動かしたりする可能性についてより自由に発言するためでもあった。他の経験豊かなAI研究者と共に、オープンAIやメタ・プラットフォームズ、アルファベット傘下のグーグルのような企業に対し、開発競争を繰り広げる高度なシステムの安全性にもっと多くのリソースを割くべきだと呼びかけている。