「ほめて伸ばす」は心理学的にも脳科学的にも意味があります。
「ほめたら部下が調子に乗る」「細かくほめると期末に厳しい評価と矛盾が出るのが怖い」など、部下への承認・賞賛を惜しむ上司がいますが、金銭的報酬だけでなく精神的報酬をしっかり提供することは、現在のようにポストも事業も給与も右肩上がりではない経営環境では重要なマネジメントスキルです。
叱る・ほめるを使い分けて
組織改革を成功させよう
もちろん、ただほめればいいという話ではありません。近年、厳しい指導を行うと「パワハラ」扱いになるリスクがあるためか、社員に対し優しく、ほめる言動に偏りがちな会社や上司も見受けられます。
なかには、「本当は期待以下だが、おだててでも働いてもらわないと反発されたら厄介」という本末転倒な理由で心にもない賞賛を口にする上司もいますが、それは「間違った行動を強化し続ける」メッセージにつながる愚策です。
本来、ほめることと、悪い点を指摘することは、車の両輪のようなもの。その両方が正しく、かつバランスよく実践されたときにはじめて、部下の行動変容や組織の風土改革が実現します。