人は、怒りや不満などネガティブな感情を吐き出せないと残り続けて解消できません。しっかり上司が部下の本音に耳を傾けることで気持ちが浄化されていきます(カタルシス効果)。

 また、時間をかけて聴けば聴くほど、「自分と長く接してくれた人に好意を抱く」という、心理学的に「単純接触効果(ザイアンスの法則)」と呼ばれる現象が起こります。

 上司が真摯に話を聴いてくれたことでネガティブな感情が落ち着き、上司に対する信頼感が高まると、「恩を受けたら相手にも返したくなる」という心理効果(「返報性の原理」)が働き、ようやく「では、これから自分はどうすればよいのか」と「予期せぬ変化」や「望まない変化」を受け入れる心理になります。

「否定」と「抵抗」を乗り越えられると、部下に変わりたいという意思が芽生えるため、その後の具体的な方法を考える「探求」フェーズ、変わるための方法を実践していく「決意」フェーズへ前向きに移行できるようになります。