「短命で終わる。(25年7月の)参院選まで持たないだろう」
就任早々の「言行不一致」で低空飛行を続ける石破茂政権に対して、自民党内からそんな冷ややかな声が漏れる。それほど、党内の主流派と非主流派の間に、大きな亀裂が生じている。
総裁選に出馬した9候補のうち、石破政権で入閣したのは官房長官続投となった林芳正氏と、財務相に起用された加藤勝信氏の2人。とくに加藤氏は、1回目の投票で9候補中最下位に沈んだにもかかわらず、古巣(財務省)の大臣ポストを手にした格好だ。
加藤氏の国会議員票は16票にとどまり、推薦人の20人すら下回った。加藤氏自身の1票、SNSを通じて加藤氏に投票したと明かした推薦人以外の1票(青山繁晴氏)を含めると、推薦人のうち6人が加藤氏に票を投じなかったことになる。最終盤に決選投票進出をかけ、上位3候補(石破氏、高市氏、小泉進次郎氏)が激しい議員票争奪戦を繰り広げた結果、加藤氏の推薦人票が引き剥がされた可能性が高い。
ただ、加藤氏を推した議員の1人はこう語る。
「(加藤氏は)“裏切り”にはショックを受けている様子だったが、結果的に望んでいた重要閣僚ポストが手に入り、知名度もだいぶ上がったことは、今後に向けてプラス」
新政権の後ろ盾・菅義偉副総裁に近い加藤氏は、人脈の乏しい石破氏が「挙党態勢」を演出するのにも、一役買ったことになる。
今回の閣僚人事では、(1)菅氏に近い顔触れ、そして(2)総裁選の論功行賞、さらに(3)石破氏同様、安倍晋三政権時代から冷遇されてきた人物の起用――が相次いだ。
(1)は国家公安委員長の坂井学氏、子ども政策担当相の三原じゅん子氏、(2)は外相の岩屋毅氏、経済再生担当相の赤澤亮正氏らが当てはまる。(3)の代表格は、総務相の村上誠一郎氏だ。
では、厚生労働相はどうか。福岡資麿氏の起用について、ある自民参院幹部が明かす。