7月4日に発令された厚生労働省の人事で、製薬業界の関係者が強い関心を寄せていたのが「城審議官の去就」だった。
厚労省は22年の組織改正で医政局に「医薬産業振興・医療情報審議官」を設置。城克文氏はかつて、医政局経済課長(現医薬産業振興・医療情報課長)を務め、14年度には「未妥結減算」の制度化に深くかかわり、16年度の「基礎的医薬品」の創設にも道筋をつけた。
城氏は今回の人事で、医薬・生活衛生局長に昇格した。出世面で考えれば、89年の入省同期の榎本健太郎医政局長(留任)が先行。「医政や保険よりは“格下”にはなるが、医薬局長として残ったのは評価されている証拠」(自民党厚労関係議員秘書)、「業界事情に精通している人が、産業振興の後に今度は薬事を担ってもらえるのはありがたい」(内資製薬大手渉外担当者)といった声が聞かれる。
城氏の後任の医薬産業振興・医療情報審議官には、デジタル庁国民向けサービスグループ次長の内山博之氏が就任した。
内山氏は91年入省。08年大臣官房総務課企画官、14年年金局企業年金国民年金基金課長、16年社会・援護局障害福祉部障害福祉課長、18年同部企画課長、20年年金局総務課長などを経て、内閣官房副長官補付内閣審議官を務めた後、21年からデジタル庁に移っていた。これまで主に年金・福祉分野などを担当してきており、経歴からみれば医薬品産業との結びつきは薄い。
元厚労省局長経験者の見立てはこうだ。
「91年入省組に医薬産業振興という文脈で適任者が見当たらなかったことと、今回は医薬産業振興・医療情報という担当分野のうち、後者の医療情報の利活用促進を意識した起用ではないか」
このほか医療・医薬関連幹部の人事に特徴的な点を順にみていく。