ファイル共有ソフト「Winny」を開発した金子勇ファイル共有ソフト「Winny」を開発した金子勇 Photo:SANKEI

小惑星探査機「はやぶさ2」の
ミッションマネージャーを務めた吉川真

「栃木県」という県名の由来になった栃木市(栃木市の名の由来となった「栃木町」が、最初の県庁所在地だったため、県名にもなった)にある、県立の伝統校だ。校内には明治から大正時代に建てられた三つの建物が、国の登録有形文化財として残されている。略称は「栃高(とちたか)」だ。

 理数系科学の最前線で活動している3人の研究者・技術者を、紹介しよう。栃高の校訓の一つである「進取創造」を体現した卒業生だ。

 種子島宇宙センターから2014年に打ち上げられた「はやぶさ2」は「はやぶさ」の後継機で、地球から約3億キロ離れた小惑星「リュウグウ」を探査、その表面サンプルを持ち帰るという壮大なミッションを成功させ、2020年末に地球に帰還した。

 このプロジェクトでメンバーをまとめるミッションマネージャーを務めたのが、宇宙航空研究開発機構(JAXA)准教授(当時)の吉川真だ。吉川は1980年に栃高を卒業、東京大理学部天文学科に進学し、博士課程大学院を修了した。小学生のころから天体観測が大好きで、中学生の時に『星の王子さま』を読んで宇宙への興味が一気に高まったという。

 英科学誌ネイチャーは2018年12月の電子版で、18年に科学分野で話題になった10人を取り上げた。日本人では、「小惑星ハンター」というニックネームを添え、吉川を選んだ。「はやぶさ2」プロジェクトについては、何度もテレビ番組や情報番組、映画で取り上げられてきた。