「体調不良にならない人」のカラクリ

 僕が勤めるメガバンクにも、絶対に体調不良にならない鉄人みたいな先輩を見たことがあります。毎日のよう遅くまでお客さんと接待での飲み会をこなしながら、朝は誰よりも早く出社していました。

 でも、では「この人が体調不良になっていなかったか?」というと、実際のところはそんなことはありませんでした。こういった人も、季節の変わり目には体調を崩しています。

 ただ、こういった人のすごいところは、体調を崩しても決して休まないのです。多少の体調不良は気合いでなんとかして、仕事をしながらカラダを休ませ、体調を改善しています。

 さらには、自分の直属の上司や評価が関係する人の前では体調が悪いことは極力見せずに振舞うことで、常に元気な社員であることをアピールしていました。

 こうすることで、周りから見ると、「いつでも元気な人」というブランディングが完成して、結果として「体調不良にならない人」になるのです。

上司にも「仕事を任せる」リスクがある

 現代では、体調が悪ければすぐにでも休みを取れる理想的な職場が増えていると感じています。また「周囲にうつしてはいけないから」という理由で休むこともしやすくなってきましたし、そういった配慮も当然にあるでしょう。

 しかしたとえば、「体調不良になっても絶対に休まない」というモーレツな考え方で仕事をしている【Aさん】が部署にいたらどうでしょうか。

 きっと上司は安心して、Aさんに仕事を任せることができるでしょう。前述のとおり、上司にとって「体調不良による休暇を頻発させる部下」に重要な仕事を任せるのはリスクだからです。最終的に上司がその尻拭いをするのだから、その負担を考えると当然の意見です。

「体調不良でも休まないヤツ」が職場にはいる

 Aさんのようなタイプの人は、こう言った環境だからこそ、ちょっと無理して休まずに働いて社内での評価を高めようとします。

 実際上司の立場からすれば、もし、仕事の実力が同じくらいだとした場合、「次のチャンスはAさんに回そう」と思うことになりかねません。つまりこのAさんタイプの人は、本来体調不良だとしても、周囲の人に気づかれないように過ごして、周りに「いつも体調の良い自分」を見せているのです。

 職場で出世していくうえで、「自分を周りにどうブランディングするか」は重要です。

 仕事の実力があるのに、こういったアピール合戦で負けてしまっては悔しいですよね。こういった目線で、職場で自分が周りに「どう見えているか」、また「どう見せていくか」を考えるようにしてみてください。

(本記事は『雑用は上司の隣でやりなさい』の著者による特別な書き下ろし原稿です)