どんなに仕事で成果を出しても、周りから「評価」されなければ無意味である……あなたも、自分より能力が低い人がなぜか上司から高く評価されていて、イラッとした経験があるはず。ではこのような「なぜか評価される人の“戦略”を、あなたは知っているだろうか。新刊『雑用は上司の隣でやりなさい』は「周りに実力を“評価させる”戦略」を初めて言語化した歴史的な一冊だ。最短出世中・現役メガバンカーのたこす氏による「実力を適切にアピールする「見せ方」の技術」をまとめた本書は、発売直後から「こんな本が30年前に欲しかった」「今までにない知恵がつく」「上司には絶対に見せられない」と話題沸騰中である。今回はその中から「TOEICを勉強しない人が出世しない理由」についてお伝えする。

職場で「TOEICを勉強しない人」が出世できない理由<最短出世中・現役メガバンカーが教える>Photo: Adobe Stock

会社における「錯覚資産」を見つけよう

錯覚資産という言葉を聞いたことがありますか。書籍『人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』(ふろむだ著・ダイヤモンド社)で一般化した単語です。ざっくり僕の理解をお伝えすると、「実は大したことない、または運が良かっただけなのに、何かの点数や評価が高いことで、そのままその人の全体的な評価が高まる資産的スキル」のことです。

皆さんは、自分の会社における「錯覚資産」が何かを理解していますか。

例えば、社内での表彰の一部も錯覚資産です。運よく受賞した結果、大した実力がなくても、周りから「凄い奴」として認識されるようになります。つまり、錯覚資産は非常にコスパが高いということです。

転職マーケットだけでなく、会社においても必ず錯覚資産が存在しています。その錯覚資産を早めに見つけることで会社内で効率良く高評価を得られるようになります。

TOEICは多くの企業において「錯覚資産」ポジション

例えば、TOEICは転職マーケットにおける非常に強力な錯覚資産として有名です。点数が高いだけで、本来は自分の能力では採用されないような大企業に転職することもできてしまいます。

TOEICは、多くの企業で英語力の指標として採用されているため、非常に人気のある資格です。就職や昇進の際に有利に働くことが多いのも特徴です。

しかし一度でもTOEICを受けたことがある方ならわかると思いますが、「TOEICのスコアが高い」からと言って、「流暢に英語を話せる」というわけではありません。本来、英会話力を向上させるためには、TOEICの学習だけでなく、スピーキングの練習も別途行う必要があります。

しかしここで大事なのは、「ビジネスで英語が使える人材か?」を測るために、会社が使うのは「TOEICスコア」だということです。つまりその会社において「TOEICスコアが高い」というのは、「英語ができる」ことを表します。

これが「錯覚資産」です。例えば実は僕のいるメガバンクには、意外と英語が苦手な銀行員が多いです。そのため、実はTOEICの点数も高得点を持っているだけで思っている以上に評価されるようになります。このような「実はそこまで難しくないのに、周囲の評価が上がる」資格やスキルを早めに見つけて、優先的に身に付けるようにしましょう。

「錯覚資産」を身につければ、出世の確率は高まる

会社や部署内に英語が苦手な人が多ければ、周囲から「こいつは英語が話せるヤツだ」と思われるだけでほぼ確実に「すごいヤツ」認定されます。しかもTOEICは実際に英語を話せなくても、スコア単体なら上げることができます。これほどコスパのいい資格はなかなか他にないでしょう。いざ海外系の部署に配属になったら、その後必死で勉強すればよいのです。

逆に、このようなコスパのいい「錯覚資産」を見つけずにがむしゃらに勝負するのは非常にコスパが悪いです。

話をまとめてみましょう。以下の二人のうち、会社において出世しやすいのはどちらでしょうか。

・評価されやすい資格を取るAさん
・評価されにくい資格を取るBさん

答えは一目瞭然ですよね。

会社では、様々なスキルや技術を得ることを強制されます。ただし、多くのビジネスパーソンは全てのスキルを上達させることはできません。どうせ勉強するのであれば、コスパが高いスキルを主体的に選択するようにしましょう。

(本記事は『雑用は上司の隣でやりなさい』の一部を抜粋・編集・加筆した記事です)

著者:最短出世中・現役エリートメガバンクブロガー たこす
本部公認で副業としてブログを運営する、年収1400万円の現役メガバンク行員。10年以上メガバンクという極限の環境で生き残り、最短で出世街道を歩んでいる。新卒で配属された支店で猛烈なパワハラ上司に理不尽に詰められ続ける過酷な労働環境の中、理系的な分析手法によって独自の「高コスパな仕事術」を編み出す。証券会社に出向して花形の投資銀行業務に携わった後、銀行に戻って上場企業を中心とした大企業営業を経験。現在も本部勤務を続けている。