アフリカ大陸で多くの国が独立した1960年(アフリカの年)より前なので大半が植民地であった。朝鮮半島も南北がまだ分かれておらず、そこに「ハーヌ民国」とあって度肝を抜かれたものである。朝鮮戦争の休戦からあまり経っていない時期ならではの表記だろう。
ちなみにハーヌは「韓」であるが、隣の「チョンホワ民国」(中華民国)とともに、外国名ならすべてカタカナ表記にしていた時代もあったのかと驚いた。
各地の特産品を知ることもできる
地図帳の情報量の多さ
学校地図帳では最大手の帝国書院は、戦前の昭和9(1934)年版(日本・世界各1冊)と占領下の昭和25(1950)年版、そして高度成長期の昭和48(1973)年版をセットにした地図帳の復刻版を刊行している。
その際には私が解説の一部を担当させてもらったが、その後新たに地図帳の楽しさを語る『地図帳の深読み』という一般書籍を刊行した。その執筆の際にあらためて中学・高校の地図帳を日本と世界の隅々まで眺めたところ、これまで半世紀も見てきたはずなのに知らなかった部分もあり、地図帳の情報量の多さと奥の深さに思い至った次第である。