たとえば川の不思議な流れ方や、その流域と言語の関係性、不思議な線を描く国境線、外国地名のカタカナ表記の変遷などなど、ボーッと眺めていたのでは気づかないあれこれを教えてもらった。
今尾恵介 著
日本各地の特産品をアイコンで紹介するアイデアも秀逸で、これらが特色ある「ご当地名産」を教えてくれる。しかも青森県のリンゴや高知県の和紙のような伝統的なものだけでない。
『新詳高等地図』(平成30年発行)では、たとえば北海道北見市には「スマートフォン」の文字とそのイラストが添えられる。長野県塩尻市には「プリンター」、山梨県忍野村には「ロボット」、滋賀県彦根市「電気カミソリ」、徳島県阿南市「発光ダイオード」、大分県国東市「デジタルカメラ」などなど、それぞれ独自の高い技術をもったメーカーが全国各地でさまざまな製品を生産していることがわかる。
大都市圏に住んでいると、昨今ではアジア各地に多くの工場が移転してしまったと勘違いしそうになるが、優秀な従業員たちが地方経済を懸命に回していてこその日本であることをあらためて教えてくれる。実は大きな役割を持っている地図帳を、生徒諸君が存分に楽しんでくれますように。