上司から部下に指示を出す時はAという目的だけ伝え指示するのではなく、Bというタスクにおけるリスクを伝え、Cという過去の成功例や失敗例を伝え、Dという成功時の達成感を伝え、Eという部下に対する期待度を伝える。

 このような説明を交えて指示が出せると、部下もAというミッションに対して動きやすくなるとともに、高いモチベーションで頑張れるのではないでしょうか。

 指導者が伝え方を熟知しているかどうかによって、周りの人たちの動きやすさが格段に変わってくる。30年間の教師経験や指導経験で培った言語スキルは、プロサッカーの世界でも生かされる。人と人とが関係している現場では、求められるスキルはどこも同じなのです。

勝てないチームの指導者ほど言う
「話を聞いていない選手が悪い」

 言語化といっても、ただ言葉にするのではなく、多角的な視点で考え、発言するべきだと考えます。重要なのは、話したい人と聞きたい人のタイミングがぴったり合っていること、そして話をする人の話の内容が、相手の聞きたい内容や期待値を上回っていくことです。

 さらには聞きやすさも含めて、上手く話す人というのはタイミングと内容のポイントをしっかり押さえています。大事なのは自分が何を伝えたいかだけでなく、伝えたいことを相手が聞きたいポイントから逸脱せずに伝えていくことです。